目次
🕊【曲の概要】
2024年10月にリリースされたGLAYの17thアルバム
『Back To The Pops』に収録された「さよならはやさしく」は、
TAKUROさんが描く“別れの成熟”をテーマにした楽曲。
20代で書かれた“別れ”が激情や痛みで彩られていたとすれば、
本作は“受容”と“感謝”で描かれる――GLAY30周年にふさわしい円熟のラブソングだ。
曲全体はピアノとストリングスを基調にした穏やかなアレンジで、
まるで“人生の四季”を振り返るような静けさを湛えている。
💭【歌詞考察】
①「やさしさにさようなら」から始まる、穏やかな別れ
やさしさにさようなら 風に立つ 獅子たちよ 明日からはもうそれぞれに
「やさしさにさようなら」という冒頭の一文。
GLAYの長い歴史の中でも、ここまで“別れ”を優しく言い換えた表現は珍しい。
かつての「BE WITH YOU」や「Winter, again」では涙の別れが描かれたが、
ここでは“やさしさごと見送る”という達観がある。
“風に立つ獅子たち”という表現も象徴的。
獅子=強さ・誇りの象徴でありながら、孤高の存在。
“それぞれの道”を歩み出す瞬間を、まるで人生の卒業式のように描いている。
②「愛するが故に、苦しい」——成熟した愛の形
愛するが故に こんなに苦しい 遠く離れて気づいた 愛おしい君その愛
GLAYが初期から繰り返し歌ってきた“愛と痛み”のテーマ。
しかしこの曲では、痛みを否定せず“受け入れている”。
“苦しい”という言葉の奥に、“それでも愛を肯定する”強さがある。
つまりこの曲の愛は、“所有する愛”ではなく“解き放つ愛”。
TAKUROさんの詞がここまで穏やかに“さよなら”を描けるようになったのは、
30年という時間の中で積み重ねた経験と赦しの表現でもある。
③「恋」と「愛」を分けて描く、TAKURO流の哲学
恋とは 誰かを慈しむならば 愛とはなんだかもっと 難しい感情の果て
このフレーズは本作の核心。
“恋”が感情の衝動であるのに対し、
“愛”は時間の中で形を変えながら続いていくもの。
TAKUROさんはこれまでも「生きがい」「SOUL LOVE」「時の雫」などで
“愛とは何か”という問いを繰り返してきたが、
この曲ではその答えの一端が静かに提示されている。
愛とはなんだかもっと 難しい感情の果て
この一行はまさに“TAKUROの到達点”ともいえる。
恋愛だけでなく、人間そのものの“生”を見つめる眼差しだ。
④ 「さよならはやさしくて」――終わりがもたらす癒し
さよならがやさしくて
さよなら愛しいbaby
タイトルにもなっている“やさしいさよなら”。
それは冷たさではなく、相手の幸せを願うあたたかい別れ。
「さよなら愛しいbaby」という繰り返しには、
“過去の自分”や“若き恋”への愛惜も滲む。
GLAYの過去曲「彼女の“Modern…”」や「とまどい」では、
別れは“痛み”として描かれていた。
しかしここでは、痛みの先にあるやさしさとして昇華されている。
この違いこそ、2024年のGLAYが辿り着いた“成熟の証”だろう。
🌸【まとめ】
「さよならはやさしく」は、
“別れ”を悲劇ではなく“人生の美しい一部”として描いた作品。
TAKUROさんの詞に流れる穏やかな諦観、
TERUさんの歌声に宿る優しさ、
そして長年の絆が滲むアンサンブル。
それらすべてが、“別れのやさしさ”という
GLAYならではの愛の形を体現している。
あなたにとって、“やさしいさよなら”とはどんな瞬間ですか?
それは恋の終わりか、人生の節目か――。
ぜひあなた自身の“やさしさ”を思い出しながら聴いてみてください。

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